卒業式を 済ませた由希は 両親と一緒に 簡単な着替えだけを持って 絵里加の家に着いた。
事前に送った荷物は 由希よりも先に届いて 絵里加の部屋で 待っている。
「お兄さん お姉さん。この度は 本当に お世話になります。」
父が 丁寧に挨拶をする。
別荘に来る度に 一緒に 釣りに行ったり 食事をしたり。
ずっと 仲よくしている 家族だから。
「こちらこそ。由希ちゃんを 借りてしまって。ごめんね。」
絵里加のパパは 子煩悩だから。
由希を預ける寂しさを、思いやる。
「由希 家では 部屋で 勉強ばかりしていて。全然 俺の相手を してくれなかったからね。」
と父は由希に言う。
「だいたいパパは 帰りが遅くて 私の話しも あまり 聞いてくれなかったじゃない。」
と逆に、由希に責められる。
「由希ちゃんの荷物 部屋に 置いてあるわよ。もうすぐ 絵里ちゃんも来るからね。」
絵里加のママは 優しく言う。
「部屋に行ってみてもいい?」
由希が言うと 優しい笑顔で 頷いてくれる。
由希は 弾むように 階段を昇った。