母は 話しながら 少し涙汲む。 そんな母の反応が 由希は意外だった。 ダイニングで 祖父達の話しを 聞いていた由希は 驚いて 母を見る。 「もしもの時は、由希ちゃん達も 東京に行くからね。そのつもりでいてね。」 母は いつもより 低い声で 由希に言う。 「美奈子も お父様には 可愛がってもらったからね。寂しいな。」 祖父の言葉に 母は 俯いて瞼を押さえた。 由希が 初めて見る 母の涙だった。