もともと 成績の良い由希が 真剣に 勉強を始めると 成果は すぐに出た。

中学生になって 最初の定期テストで 由希は 一番になる。
 


「由希ちゃん すごい。パパに似たのね。」

と祖母は喜ぶ。



地元では 恵まれた 堅い家庭の娘だから。



同級生の家は 商店や 隣の市の 工場で働いている親が多い。

両親が 公務員という家庭は、珍しい。
 


「このくらいじゃ 全然駄目だよ。ねえママ 塾に行ってもいい?」


教育水準が 低い地元で、一番になったくらいでは 絵里加の大学は 目指せない。
 

「いいけど。そんなに勉強して 何になりたいの?」


母は 姉を見ているようで 懸念していた。



姉は奇蹟だから。



いくら勉強しても 姉のようには なれないから。