「由希ちゃん、読んでわかるの?」

絵里加のママに聞かれて、
 

「よくわからないけど。慣れるだけでも 良いかなと思って。」

と由希は苦笑する。
 

「由希ちゃんは 本当に努力家だね。そうやって いつも見ていると 確かに慣れてくるよね。」

絵里加のパパも、笑顔で言う。
 

「そんな難しい本 読んで楽しいの?」

壮馬に聞かれて、
 

「壮君も 難しい機械の本 楽しそうに 見ているでしょう。一緒だよ。」

と笑う由希。
 


まだ時間は あるからと 楽しそうに 準備を始める由希に 絵里加のパパとママは 満足感を覚える。


手元に置いて 目をかけている姪が 自分の道を探し 歩き始めたことが とても嬉しかった。
 


早めに選んだ行先は 途中で替えることも 引き返すこともできる。


全力で走らなくても ゴールを目指せる。


由希は そんな環境を 与えられたことを 無駄にせず 歩き始めたから。



余裕のあるスタートは 心を 楽にしてくれるから。