最後まで 意識があって みんなと 言葉を交わしながら 亡くなったお祖母様。
最後は、
「赤ちゃん、天国で見ているよ。」
と樹君と恭子ちゃんに 声を掛けて 静かに目を閉じた。
それは 大きな悲しみの中でも 元気な赤ちゃんを産む為に 恭子ちゃんに 前を向かせてくれた言葉だった。
明るくて 優しくて 温かなお祖母様は 家族みんなの 心の中に いつまでも 生き続ける。
姿は 無くなってしまっても その存在が 消えることはない。
由希も お祖母様の優しさは 忘れられなかった。
何かに迷った時 お祖母様なら 何て言うだろうと 自分に問いかけてしまう。
それから 何年もの月日が過ぎても。
お祖母様の 喪失感を慰めてくれる 新しい家族。
恭子ちゃんのお腹は 少しずつ大きくなり。
結子と淳子の成長が、立ち止まることを 許さない。
寂しさを 共有しながら みんなが 前を向いて 歩いていた。