小5。夏。告白。
早いのは知ってる。でもどうしてもおさえきれなかった。

「私と、付き合ってください。」
頭を下げる。
恐る恐る地面から彼の顔に目を移す。
彼はフフッと微笑んだ。
そして少し顔を赤くし、頭を1、2回かいてから言った。
「こんな俺で良ければ。」
嬉しかった。
「そんな君じゃなくちゃヤダよ?颯くん」

久しぶりの夢を見た。
元カレの。初カレの夢。
小5から中1までもった。結構長かった方だと思う。
告白は私から。別れを告げたのも私から。別れた理由は、彼が不登校になったから。
名前は中間颯一朗。
彼は兄弟が多くて大変そうだったところもあるが、何よりも明るい性格の裏に何かがあるような気がする。そんな人。どこに引かれたのかはあまり思い付かない。両想いだったのと、優しかったのと、イケメンだったのと?ってところ。ハーフ系のイケメンだった。私もよくハーフに間違われるため、二人でそれについて語り合ったこともあった。
彼とは小3の頃からずっと両想いということを知っていたため、ためらいなく私は彼に告白した。まあ夢と同じ。
でも私はその自信の無さに疑問を抱いた。
付き合った次の年、彼は学校にあまり来なくなった。来ても一週間に3日。デートにも遅刻やドタキャンが続いた。
流石に多すぎて私もキレた。
彼は「ホントにごめん。」とだけ言っていた。その時の彼は何だか闇をまとっていた気がする。
そんなに私のこと嫌い?嫌いなら振ってよとも思った。
でも彼は毎日毎日、「大好きだよ。」とLINEしてきてた。私は何か理由があるのかもしれないと、彼の友達の樹に聞いた。
樹の話によると、最近颯くんの家は離婚したらしく、颯くんも情緒不安定なんじゃないか?と言われた。
初めて知った。
そんな相談受けなかった。
何故か悲しくなった。
でもこれを言ったら颯くんも悲しむだろう。そう思って私は言わなかった。
それを聞いた次の日。
颯くんは学校にいた。
今までデートもドタキャンされてたしいい機会だろう。そう思って颯くんのクラスに行った。
なんだか騒がしい。
私は何だろうと廊下の角から覗き見した。
すると、颯くんが大柄な生徒の上に乗り、顔をひたすら殴っていた。
すぐに先生が止めに入った。
私は怖くてその場から足が動かなかった。