だから、意味が分からない。
「それでだな、肝心のどっちが勝ったかという話だが……」
ーーキーンコーンカーンコーンッ
「あっ、チャイムが鳴ってしまったな。じゃあ、この続きが気になるやつは俺に聞きに来い。以上」
一番大事な所を聞く前に、チャイムが授業終了を知らせ、先生はさっさと教室を出て行ってしまった。
私はぼーっとしてしばらく上の空だったが、はっと我に戻ると、ポケットから携帯を取り出した。
「ええっと、確か…永禄7年だっけ?」
私は永禄7年を検索する。
「西暦1564年……」
今から400年以上前。
調べてみると、いわゆる戦国時代の初期だった。
和暦なんて明治からしか知らない私が夢の中で作っていたと思っていた”永禄”すら、本当にあった元号だった。
あの夢はただの夢じゃなかった。
それを確信した。
でも、夢じゃなかったらなんだったのだろう。
本当にあったわけでもないし。