高瀬に触れられたら、もうなにも見えなくなってしまう。

どうにかして熱を冷ましたくて、水槽に視線を巡らせてみれば。

「あ、マンボウだ……!」

わたしの今日のメインフィッシュを見つけて、思わず頬がゆるんだ。

「ぷっ」

「ちょ、なんで笑うの」

「マンボウが好きなの?」

「だってさ、あのフォルムも、まんまるい目も、おちょぼ口も! すべてがかわいすぎる……っ!」

「あはは、そこはペンギンとかイルカじゃないんだ? 変わってんね、たまちゃん」

「あ、もちろんペンギンもかわいいんだけど。あのフォルムをひと目見て、気に入っちゃったんだよね。それからはずっとファンだよ」

「あはは、ファンって!」

「そんなに笑うことないでしょ。ひどいなぁ」

「ごめんごめん。めちゃくちゃかわいくて、つい」

冷ましたはずの熱が再び戻ってくる。

バレないように手繰り寄せて、意識の外へポイッ。

反応しないで、わたしの心臓。

もうこれ以上、高瀬なんかに。