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「藤田せんせーい!!プリントお願いしまーす」
「あら、宮本さん…うん。OKね。」
昨日の課題を持ってきた彼女は1年A組の生徒。確か体調不良でお休みだった子。
「こーら、宮本。準備室に入る時はノックと“失礼します”と学年組と名前を言えと何回も言ってるだろー」
「はーい、ごめんって〜」
国語科の1年生を担当している。私が高校生の時からいるベテランの川村先生だ。
…変わってないなぁ。
「…ったく。藤田先生が優しいからって、すみません。」
「いえ…でも、なんか懐かしいです。学年組と名前言うの」
「あぁ、昔からですからね。だけどまさか藤田が先生になって戻ってくるなんてなぁ…俺も年取るわけだ。」
やっぱり、落ち着くなぁ。母校だからかな?それとも…あの人の面影を感じるから…?