長く見ていた夢は妙にリアルで、覚ますことないくらい心地のいい夢だった。僕の汚い心を綺麗にするように君の涙は綺麗で、触れてしまえば僕は消えそうだった。

普通に恋することが出来たのであれば僕はただひたすら願うのだろう。ただ、普通の恋ができるわけがないとわかりきっていたから願うことすら諦めていた。君を見る度に胸が締め付けられて、夢から覚めそうなのに。心地いいとは言い難いくらいなのに君に触れるとその気持ちを忘れて心地いい。だけが残る。

魔法なら、僕の気持ちの行き当たりが予想出来て楽なのに君はそう楽にはさせてくれなかった。夢だから、君は僕から逃げるのか?夢だから、君は僕をいつも助けてくれるのか?

人から嫌われ、好かれようとしていなかった。僕は悪魔だ、人を殺す。生きた死神と呼ばれ、殺してやると刃物を突き刺され、暴言を吐かれ、生きた心地なんてするはずない生活ばかり。死ねないからただ生きるだけ。

僕は生きる悪魔で、君はすぐに死んでまう天使。すぐ死んでしまうのに。すぐ僕の目の前から消えてしまう不思議な君が気になって仕方がなかった。

どんなに綺麗な夕日を目に焼き付けたって君には叶わなかった。綺麗音を聞いてもな、美味しいものを口にしても何も感じることが出来なかったのに、君がいると全てが豊かになる。君はぱっと出てきてぱっと消えてしまう。求めれば求めるほど来てくれない。

過去に縋ってても特にいいことがある訳でもないのにそれしか出来ないから過去の君に僕は助けを求め続ける。

天使が落ちたと噂になる日、僕の人生は動き始めたんだ。僕の独り言、聞いてくれるか?君の届くはずないけど、届け。