「夢」と呼ばれるものを持って居なかったわけではない。

私は母親がなりたくてもなれなかった薬剤師を目指していた。

お母さんの夢を、私が叶えるんだ。

なんていいながら、結局のところ

私は母の夢を自分の夢にして、「人生の選択」で楽をしていただけだ。

それなりに恰好の付く「いいわけ」を探し、

丁度いいところにあった「いいわけ」を拾って掲げたに過ぎない。


良く、

「数学の足し算・引き算・割り算・掛け算はいいとして、ルートなんて日常じゃ使わない」

というのは聞くけれど、

「学校の勉強が、必ずしも生きていくことに必要ではない」

と、心底気づいたのは、相当後になってからのことだった。