10.愛おしい世界
遠くで誰かの話声が聞こえる。
重たい瞼は閉じたまま、その声に耳をそばだてた。
「ああ、うん。わかった。気をつけて」
錦小路社長の声だ。
そういえば、私は彼に抱きしめられたままその後どうなったんだったっけ?
って、ひょっとして、あの状態で寝てしまった??!
その半信半疑の事実に慌ててまだ重たい瞼をなんとかこじ開けて上体を起こす。
ソファーで寝ていたらしい私の上には毛布がかけられていた。
「起きたか」
声の方に顔を向けると、彼が普段と変わらない冷静な眼差しを私に向けている。
まるで、私を抱き締めたことなんかこれっぽっちも気に留めていないような様子で。
リビングの窓から刺す明るい日差しが、既に朝を迎えていることを嫌でも教えてくれた。
「すみません!私、あのまま寝てしまったんでしょうか?」
まだ体も瞼も重たく、回らない頭でこの状態を必死に理解しようとする。
「あの状況で寝るとは大したもんだ」
彼はそう言うとほんの少し表情を和らげキッチンに入っていった。
きゃー!なんてこと?!
彼に抱きしめられたまま寝てしまうなんて。
彼はどう思っただろう。きっとあきれてる。
あまりの恥ずかしさと情けなさで自分の顔を両手で覆う。
その時、窓から小鳥のさえずりと一緒にコーヒーのいい香りが漂ってきた。
遠くで誰かの話声が聞こえる。
重たい瞼は閉じたまま、その声に耳をそばだてた。
「ああ、うん。わかった。気をつけて」
錦小路社長の声だ。
そういえば、私は彼に抱きしめられたままその後どうなったんだったっけ?
って、ひょっとして、あの状態で寝てしまった??!
その半信半疑の事実に慌ててまだ重たい瞼をなんとかこじ開けて上体を起こす。
ソファーで寝ていたらしい私の上には毛布がかけられていた。
「起きたか」
声の方に顔を向けると、彼が普段と変わらない冷静な眼差しを私に向けている。
まるで、私を抱き締めたことなんかこれっぽっちも気に留めていないような様子で。
リビングの窓から刺す明るい日差しが、既に朝を迎えていることを嫌でも教えてくれた。
「すみません!私、あのまま寝てしまったんでしょうか?」
まだ体も瞼も重たく、回らない頭でこの状態を必死に理解しようとする。
「あの状況で寝るとは大したもんだ」
彼はそう言うとほんの少し表情を和らげキッチンに入っていった。
きゃー!なんてこと?!
彼に抱きしめられたまま寝てしまうなんて。
彼はどう思っただろう。きっとあきれてる。
あまりの恥ずかしさと情けなさで自分の顔を両手で覆う。
その時、窓から小鳥のさえずりと一緒にコーヒーのいい香りが漂ってきた。