3.まさかの展開!?

「それで気が付いたら今朝、都内の高級ホテルのベッドに寝ていたって?!」

坂東さんが普段常備している大きな飴玉で右頬を膨らませながら、大きな声を出したので慌ててその口を手で塞ぐ。

「本当に何もなかったわけ?やっぱり一人で行かせるんじゃなかったわ。都はいつも一人で突っ走っちゃうところがあるからさ」

「何もないことは断言できます!着ていた服は乱れていなかったし、ケガや痛みもありませんでした。ドリンクに仕込まれた何かのせいか少しだるさは残っていたけれど」

「そのドリンクに仕込まれたものは結局体に害はないんでしょうね?」

「念のため、朝近所の内科で診てもらったんですけど、特に異常はないって……だから本当に大丈夫なんですって。そんなことより、このことは絶対編集長には内緒ですよ!」

「ったく。何事もなく都が今この場所にいることはよかったけれど、本当に今回だけよ。こんなこと編集長が知ったら、速攻この記事の担当外されるわよ。いやいやうちのチームから外されるかも」

「本当にごめんなさい!今後、絶対無茶なことはしませんから!」

私は両手を顔の前で合わせ、何度も坂東さんに頭を下げた。

今回ばかりは大反省だ。坂東さんの言うように、私は基本猪突猛進型人間だから、誰かそばにいて腕を押さえておいてくれない限り突っ走ってしまうことがよくある。

今回に関しては、無事にここに戻ってこれたことが奇跡としかいいようがない。

ただ、昨晩のあの状況から私を助け出しホテルまで手配してくれた『誰か』にはきちんとお礼が言いたい。

ホテルマンに聞いても、誰一人口を割ろうとはしなかった。

かなり強力な力で口封じされているとしかいいようがないくらい。

あの意識が薄らいでいく中で、確かにあの二人以外の誰かが急に入り込んできたことは間違いがない。

きっとその誰かが私を助けてくれたんだと思う。

あのバーに行けば、何か手掛かりがわかるかもしれない。

いずれにせよ、錦小路社長があのバーに訪れる可能性もまだ0ではないわけだから、今夜も行ってみる価値はあるわ。

あのバーテンダーなら何か知ってるはず。口を割ってくれるかどうかはさておきだけど。