20.俺の使命 ~礼side~

いじめすぎたか。

澪の存在を意識して必死に声を堪えるあいつが愛おしくて何度も求めてしまった。

疲れ果てたのか、横でちょっとやそっとでは起きないほどぐっすりと眠る都の横顔を見つめる。

汗ばんだ額に張り付いた彼女の前髪をそっと人差し指でかき上げてみるけれど、起きる気配は全くない。

眠る表情はあまりにも無防備で、相変わらず少女のような面影を残している。

そんな都がこれほどまでに俺の思考回路を支配するとは思いもしなかった。

都に愛を打ち明けて一つになったその後、互いに仕事が忙しく会えなかった三週間がどれほど長く感じただろう。

これまでも何度も女性と付き合ったことはあったが、これほど愛しく一時も離れたくないと思う相手はいただろうか。

「愛してる」

彼女の無防備な寝顔に囁いてみる。

何度言葉にしても足りないくらいに愛しい。

突然澪がやってきて、想定外にも俺の生い立ちや母の話を彼女に話すことになってしまった。

相当に今とはかけ離れた俺の立場や生活に、彼女はどう反応するだろう。

まさか俺が母親の代わりに食事を作り、澪の世話をしていたなんて。

話すまでは正直不安だった。

都は今の俺のことを好きなわけで、かつての俺の姿を知ったら彼女の俺に対する思いは変わってしまうかもしれない。

これまで付き合った女性にもそんな話はしたことはない。

話したいと思った女性がいなかったからというのもあるが、都にはいつか話さなければならないとは思っていた。