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礼、澪の二人は、医者の両親から生まれた。
地元では誰もが親しみ頼っていた有床診療所でもある錦小路医院で父は内科医、母は小児科医として働く。
何不自由なく豊かな暮らしが保証されていたにも関わらず、礼が十歳の時、父が脳内出血で急逝。
両親二人で十数名のスタッフを抱え切り盛りしていた医院は一気に運営そのものが窮地に追いやられる。
患者からの強い要望もあり、母が一人、父に代わって内科と小児科両方を受け持ちぎりぎりのところで医院経営を続けていた。
そのうちに、父親の友人でもある医師仲間が忙しい合間をぬい、非常勤医師として母親を助けるようになる。
そのおかげもあって医院の運営はどうにか軌道にのったが、早朝から夜遅くまで働く母はほとんど家におらず、まだ幼かった澪を礼が面倒を見ながら過ごしていた。
当時家事や子供の世話をするために家政婦を雇っていたが、礼は母がいない時に横柄な態度で自分たちに接するその家政婦が嫌いで母に頼んで辞めてもらう。
その代わり礼自信が澪の世話と家事をすると約束して。
まだ十五歳の礼には学業と家事の両立はとても厳しいものだったが、元々食べることが好きな彼は自分で材料や調味料を揃え澪の喜ぶ料理をふるまえるようにまでなっていった。
そのうちに自分で料理することで食の大切さやその奥深さに魅了されていく。
働く母親達のために、もっとおいしくて栄養価の高い冷凍食品や簡単に作れる総菜があればと思い、大学を卒業後は医者の道には進まず食品関係の仕事に就きたいと思うようになる。
それが父や母の後を継いで医者になること以上に自分の使命だと感じていた。
礼、澪の二人は、医者の両親から生まれた。
地元では誰もが親しみ頼っていた有床診療所でもある錦小路医院で父は内科医、母は小児科医として働く。
何不自由なく豊かな暮らしが保証されていたにも関わらず、礼が十歳の時、父が脳内出血で急逝。
両親二人で十数名のスタッフを抱え切り盛りしていた医院は一気に運営そのものが窮地に追いやられる。
患者からの強い要望もあり、母が一人、父に代わって内科と小児科両方を受け持ちぎりぎりのところで医院経営を続けていた。
そのうちに、父親の友人でもある医師仲間が忙しい合間をぬい、非常勤医師として母親を助けるようになる。
そのおかげもあって医院の運営はどうにか軌道にのったが、早朝から夜遅くまで働く母はほとんど家におらず、まだ幼かった澪を礼が面倒を見ながら過ごしていた。
当時家事や子供の世話をするために家政婦を雇っていたが、礼は母がいない時に横柄な態度で自分たちに接するその家政婦が嫌いで母に頼んで辞めてもらう。
その代わり礼自信が澪の世話と家事をすると約束して。
まだ十五歳の礼には学業と家事の両立はとても厳しいものだったが、元々食べることが好きな彼は自分で材料や調味料を揃え澪の喜ぶ料理をふるまえるようにまでなっていった。
そのうちに自分で料理することで食の大切さやその奥深さに魅了されていく。
働く母親達のために、もっとおいしくて栄養価の高い冷凍食品や簡単に作れる総菜があればと思い、大学を卒業後は医者の道には進まず食品関係の仕事に就きたいと思うようになる。
それが父や母の後を継いで医者になること以上に自分の使命だと感じていた。