「都、お疲れ様!今回はあなたのお陰で素晴らしい記事に仕上がったわ」

次の号の打ち合わせで会議室に集まった時、山根さんが皆が揃ったのを見計らって私に向かって手を叩く。そして、皆も立ち上がり私に顔を向け拍手をした。

「そんな、私一人の力ではどうにもならなかったです。皆さんがいてくれたから成しえたことです。ありがとうございました!」

皆に頭を下げながら、恥ずかしいのと皆の温かい拍手に涙腺が崩壊しそうになる。

「都のどこまでも突き進んでいく思いがきっと社長の心を揺さぶったんだと思う。本当によくやったわ」

山根さんは私の肩を叩いた。

「俺も、今まで誰も収めたことのない錦小路社長の顔写真撮る時はさすがに手が震えたよ」

松下さんが手に持った一眼レフを指さしながら頬を紅潮させて言う。

彼には極秘で彼の社長室まで写真を撮りに行ってもらった。

出版業界で彼の顔写真を撮影できるなんて奇跡だと、松下さんは何度も興奮気味に言ってたっけ。

「それにしても、錦小路社長って、噂以上にイケメンだよな、男の俺でもレンズ越しにあの目で見つめられたらドキドキしたぜ。都、あんな男前とずっと一緒にいたんなら一瞬で恋に落ちちまったんじゃない?」

「ば、馬鹿言わないで下さい。仕事ですから仕事!」

熱くなる頬を押さえながら言った私を見て皆が一斉に笑う。

その笑いにかぶさるように坂東さんがにんまり笑いながら言った。

「そうね。無事あの記事が刊行されて編集部が安泰になった後、都と社長の結婚式の招待状が届くのを心待ちにしているわ」

「もう!坂東さん!」

「可能性は0ではないって話よ。何そんなにまじになってんの?」

そう言いながら、坂東さんはペロッと舌を出す。