「錦小路社長に今から会いに行ってもいいですか?今回は本当にお世話になった上に、そんな素敵なお二人を記事にしてもいいだなんて……きちんとお礼がしたいんです。それに、どうしても社長に伝えたいことがあるから……」
「伝えたいこと?」
「渡辺さんもアレッサンドロさんももちろん素晴らしい記事になると思いますが、やっぱり、どうしても錦小路社長にも出て頂きたいんです。そして、彼の記事は私が書きたい」
「まだあきらめきれないのね?」
「はい」
「社長は相当頑なだから、また撃沈する可能性は高いけど。二度も断られてもそれを受け入れる覚悟はある?」
「断られるなんてことはありません!」
山根さんは一瞬キョトンとして、そして机に置いた手帳をぱんぱんと叩きながら大きな声で笑った。
「都のその度胸、更に見直した。気のすむようになさい!」
「ありがとうございます!」
私はボスに頭を下げると、急いで会議室を出た。
なぜだかわからないけれど、どうしても彼に会いたい。
この機会を逃したらもう二度と会えないような気がしていた。
「ちょっと出てきます!」
私は自分のデスクに置いたバッグを小脇に抱えると、クリームパンをくわえた坂東さんの前を足早に通り過ぎる。
顔が熱い。
ビルの外に出て空を見上げると、緩んだ雲が高い空に流れていた。
これが、正真正銘、最後のチャンス。
恐らく彼の与えてくれた最後の機会だと信じて走り出した。
「伝えたいこと?」
「渡辺さんもアレッサンドロさんももちろん素晴らしい記事になると思いますが、やっぱり、どうしても錦小路社長にも出て頂きたいんです。そして、彼の記事は私が書きたい」
「まだあきらめきれないのね?」
「はい」
「社長は相当頑なだから、また撃沈する可能性は高いけど。二度も断られてもそれを受け入れる覚悟はある?」
「断られるなんてことはありません!」
山根さんは一瞬キョトンとして、そして机に置いた手帳をぱんぱんと叩きながら大きな声で笑った。
「都のその度胸、更に見直した。気のすむようになさい!」
「ありがとうございます!」
私はボスに頭を下げると、急いで会議室を出た。
なぜだかわからないけれど、どうしても彼に会いたい。
この機会を逃したらもう二度と会えないような気がしていた。
「ちょっと出てきます!」
私は自分のデスクに置いたバッグを小脇に抱えると、クリームパンをくわえた坂東さんの前を足早に通り過ぎる。
顔が熱い。
ビルの外に出て空を見上げると、緩んだ雲が高い空に流れていた。
これが、正真正銘、最後のチャンス。
恐らく彼の与えてくれた最後の機会だと信じて走り出した。