アレッサンドロさんが言うには、日本酒は手間もコストもかかるけれど、イタリア人が作る日本酒はあまり価値を認めてもらえず、あくまで地元の酒という位置づけでしかなかったという。

それが、ミラノのしかも日本料理屋でふるまってもらえるなんて夢みたいだと。

「村の酒だけにしておくのはもったいないと思いますよ。僕の勘でどうしてもアレッサンドロさんに会いたいと思い急に押しかけた形になってしまいましたが、それは間違いではなかったということです」

「よろしくお願いします!」

彼と固く握手を交わすアレッサンドロさんを眩しい気持ちで見ていた。

夢を持って突き進んでる人って、なんてキラキラしてるんだろう。

私も今誰かにとってキラキラしているように見えているのかしら。

大好きな仲間達と自分の目標に光を灯してくれた『JOB♡JHYOSHI』に、以前の輝きを取り戻させなくちゃ!

「みやこちゃん、本当にありがとう!」

その瞬間、私はアレッサンドロさんに強く抱きしめられ、頬に柔らかいものが触れる。

え?!

ハグの上に頬にキスされてる?!

ひゃー!

いくらこちらでは挨拶替わりとは言えども、そんなこと日本でもされたことのない私には刺激が強すぎるんですけど!

顔が熱くなり、胸がバクバクしている。

「よかったですね」

そう言って応えるのがやっとだった。

ちらっと彼を見ると、ようやく私のヘルプを察してくれたのか、アレッサンドロさんの肩を軽く叩き「もうそろそろ帰らなくてはなりません」と言ってくれた。