「礼おじちゃん、おはよう!パパとママは?」

「今パパはこちらに向かってる。ママは病院だ」

「ママは大丈夫なの?」

「ああ、大丈夫だ。もうすぐパパが帰ってきたら一緒に話を聞こう」

「うん!僕お腹すいたー」

「そうだな、さっきパパから電話があって、パンと一緒に冷蔵庫にゆで卵とチーズがあるから食べてくれってさ」

「またそれー?」

誠くんが口を尖らせたのがかわいくて思わず彼と目を合わせて笑ってしまう。

とりあえずは、誠くんが特に不安気な様子ではないことに安心した。

一晩やり過ごせた誠くんの勇気と頑張りが自信となって少しずつお兄ちゃんになっていくのかもしれない。

「朝ごはんの用意しますね」

私はソファーから立ち上がると急いでキッチンへ向かった。

恐らく咲さん手作りのロールパンをオーブンで軽く温め皿に盛って、ゆで卵とチーズと一緒にダイニングに運ぶ。

誠くんは早速昨晩もらった戦隊物のおもちゃで彼を相手に遊んでいた。

彼が誠くんに見せる優しい笑顔は、さっき私に向けていた笑顔と似ていることにドキドキする。

少しは、私との距離を縮めてくれたのかもしれない。

あともうひと踏ん張りだわ。

私たちのチームのために頑張らなくちゃ。

その時、ズボンのポケットに入れていたスマホが鳴っているのに気づく。

見ると、山根さんからの電話だった。

わわわ。

絶対怒られる。

深呼吸してスマホを耳に当てた。