私の隣の男子は、手の甲を見せるようにして机の上にその手を置いた。


前の席の男子は、えんぴつをその子の手に刺さりそうなところで止めるのだ。



「ヒィー。避けなかったから今のは俺の勝ちな!」



ふざけているにしては度が過ぎている。

本当に刺さったら大変だ。



「ね、ねぇ……危ないよっ」



ふたりはその危険な悪ふざけを続けていて、耐えきれずに私が横から声をかけると、隣の席の男子がこっちへ振り向いた。



「……うわあっ!!」



次に目をやった時には、グッサリとえんぴつが手の甲に突き刺さっていた。


血が滲みだし、叫ぶように泣き出した。


幸い、すぐに先生が戻ってきてくれて、病院へ向かった男子の手は軽傷で済んだ。



次の日、隣の席の男子に「大丈夫?」と慌てて駆け寄ったのだけど。



「……ふざけるなよ!お、お前のせいじゃん!お前が声なんかかけてくるからだろ!」



その子は二度とこっちを向いてくれなかった。