* * *


「───だから、高校生になって隣の席になった人と、今後こそ逃げないで仲良くなりたいなって思ったの」



過去を打ち明ける私の声に、葉月くんはただ静かに耳を傾けてくれていた。



「でも、本当は声をかけた時、少し緊張したけど……」



チラっと目を移すと、息を吐いた葉月くんがベットの縁に肘を乗せ、頬杖をついた。



「なんで俺に話してくれたの?女子ならなおさら、そういう話しって知られたくないもんじゃないの?」



もちろん知られたくないし、自分から誰かに話すことなんてずっとないと思ってた。



「それは……私が葉月くんの秘密に迫ってるのに、そのきっかけっていうか……そういうこと話さないままでいるのは、フェアじゃないと思うから」



自分のことは隠して、葉月くんのことは探るなんて。


ちょっとズルい気がするし……。



「あ、でも……もし、迷惑だったり、困らせてたら言ってね?それから、気持ち悪い……とか思ったらすぐ言ってくれていいから……」