ガチャリ。

静かな朝に響く、無機質な音。無理矢理に預けられた合鍵で支配人の住むマンションの鍵を開けて中に入る。

「おはようございます…支配人」

「んー、まだ…時間じゃないだろ…」

ベッド付近に行き、声をかけるが起きようともせず、シーツにくるまり顔を隠す。

涙を流し弱みを見せた翌々日から、上手く丸み込まれ支配人のお世話をさせられて、まるでバトラーの研修をしているかのようだ。

執事のようなバトラーなど、私には荷が重すぎて、なる気も更々ないのに…。

「起きて下さい!支配人は8時に出勤するんでしょ?もう7時になりますよっ」

ガバッと勢い良くシーツを剥がすと寝ぼけている支配人にベッドに引き込まれる。

「一緒に…ね、よ」

支配人は本当に寝起きが悪くて、なかなか起きてはくれない。

「嫌です。制服がシワになりますから!」

「……じゃあ、目覚めのキスしてくれたら起きる…」

上半身だけ引き込まれた身体を離してくれそうもなく、支配人の左手が私の頭を抑えて、チュッと音を立てて軽めのキスをした。

本当は起きていたのか、キスをした後はすんなりと身体を起こして立ち上がる支配人。しゃがみこんでいる私をベッドの脇に残し、身支度を整え始める。

切り替えが早いんだってば!