─────迷子の件が解決したので、落ち着いて昼食を取れる。イタリアンのカジュアルレストランがあったので、そこに決めた。オーダーを決めていた時も決めた後も、恵里奈を見ては笑みが零れてしまう。

「な、何を笑っているのですか?急いで戻ったから、私…乱れてます?」

「髪型がね、少しだけ…」

戻って来た恵里奈は髪が少しだけ乱れているが、それに対して笑っていたのではない。

「違うよ。恵里奈に出会った時の事を思い出してた。知らないかもしれないが、視察に行った日もお前は迷子の面倒を見てた。……それで、マネージャーに注意を受けてた」

「あー!思い出しました!今日は役員さん達が視察に来るからねって言われてたのに、私が勝手な行動をして怒られたんです。あの中に一颯さんも居たのですね」

「あの時は、役員とは別に館内を案内してもらって居た時にお前を見つけたんだ」

「そうなんですか!今まで教えてくれなかったから知らなかった。でも、何で……私を選んだの?」

クルクルと表情が変わって、お節介な位にお客様に親切で、そして何よりも"笑顔が可愛かったから"……だなんて、周りに人がいる状況じゃ言えない。

「……ふ、フロントのマネージャーが優秀だと言ってたから」