「いつの日か披露宴をあげるとしたら、この規模よりも広い場所になりそうだな……」

「………え?」

「役員関係や実家の旅館関係とかも呼ぶと思うから、大がかりになると思う、多分……」

「か、…考えてもいませんでした!」

「女性にとっては一生に一度の大切な日だろ?恵里奈が好きなプランがあったら教えて」

総支配人ともなると職場関係だけでも大人数を招待する必要があり、一颯さんの実家が旅館でもあるから更に招待は増える。チキンな私は想像するだけで怖気付いている。

「……披露宴しなくても良いですか?」

「俺は恵里奈がしたくないならそれでも構わないけど、実家からも職場からも言われそうなのは確かだな……。しかも、このホテルか又は系列ホテルで披露宴をするしかなさそうな結果になると思う」

仕事上の関係もあって、披露宴をする場所は限られそうだ。それよりも優秀な一颯さんが私みたいな出来損ないの社員と結婚して良いものなのか?一颯さんが批判を受けてしまうのではないか?不安は付き物である。

「……顔面蒼白って感じがするけど、大丈夫か?」

「大丈夫じゃないです。考えてみたら、一颯さんと結婚するのは怖いなって思いました…」

下を向いてグダを巻く私の顔を一颯さんが覗き込んだ。