「気に入ってくれた?」

お風呂から上がった一颯さんはバスローブ姿で私の横に座った。バスローブの隙間から見える鎖骨とサラサラな前髪をかきあげる仕草が何とも言えずに艶っぽい。

「はい、とっても。一颯さん、こんなに素敵な指輪を有難う御座います。それに何気なく呟いた事を覚えててくれて嬉しいです」

私は起き上がり、一颯さんの背後からギュッと抱きしめる。ペタッと背中に顔をつける。大好きが溢れていて、どんなに抱きしめても足りない。

「恵里奈が気に入った物が良いと思って選んだだけだ。そんなに喜んで貰えるなら贈りがいがあったな」

一颯さんはクスッと笑って、私を見た。

「一颯さんは誕生日に欲しい物はありますか?」

目が合ったので、一颯さんに欲しい物を尋ねては見たものの……抱きしめていた両腕を解かれて、ベッドに押し倒された。

「恵里奈以外は何もいらない」

「そ、そんな事言われても……!」

一颯さんは私を見つめた後、目を逸らして赤くなっている私をからかっているかのようにクスクスと笑っていた。