一颯さんは店員さんと軽く話をして、会計を済ませた。私は頭の中を整理する間もないままに車に乗せられて、更に移動する。

「い、一颯さん!」

「んー?さっきの店員の事?咲希の友達で俺の同級生でもある」

「それも聞きたかったんですけど、あの、この格好は一体…」

「……良いから、まだお楽しみ」

しばらく車を走らせると見覚えのある場所へと到着した。以前、一颯さんが連れて来てくれたランチブッフェがある高級ホテル。まさかのまさか、この高級ホテルでディナーなのかな?

車から降ろされると驚いている時間も与えられず、以前にお世話になった本橋さんへの挨拶も早々にエレベーターに乗せられた。直通運転の専用エレベーターなのかな?……だとすると行先はエグゼクティブフロア!

「いらっしゃいませ、真壁様」

丁寧に御出迎えして頂いた専用フロントでチェックインをして、強引に連れてこられた場所は見晴らしの良いスイートルーム。自分が働いているホテルと同じ位の高層で夜景も光り輝いていて綺麗だ。

「一颯さん……?」

「誕生日おめでとう、恵里奈。サービスする側ではなく、サービスをされる側を味わうのも良いだろ?ご褒美も兼ねて、俺からのプレゼント」

「もしかして、今日はココにお泊まりですか?」

「うん、思う存分、堪能して」