私が寝ていた間に整理整頓してくれたらしく、ベッドの乱れも直っていた。一颯さんが知っている限りの私の荷物はまとめられていた。一颯さんも準備は完了しているみたいで、完全に私待ち。

「……ご、ごめんなさい!ギリギリまで寝てしまいました」

「別に良いよ。俺が無理させたんだし」

チェックアウトを済ませるとモーニングを食べなかった分が、ランチへと変化していた。一颯さんはどこまでも手配済みで、私はただの役立たずに過ぎなかった。旅館内のレストランでランチを取ってから、車に乗る前に海辺を散歩している。

「朝昼が一緒なのは、コレで何度目かな?あの時以来かな?」

「そうですね。一颯さんと寝ると寝坊しちゃうんですよ」

「寝坊対策として寝る前に激しい運動は控えるか、公休日はどこにも行かずにベッドで過ごすか?だな」

「ちょっと、そーゆー意味で言ったんじゃなくて、安心して寝ちゃうって事です!もぉ!」

パシパシと軽く一颯さんの背中を叩く。"あの時"とは一颯さんと同じ公休日になり、ランチブッフェやショッピングモールに行った日の事だ。

そう言えば、"あの日"で思い出した。幸田様はどうなっただろうか?

「あの…、思い出したんですが幸田様は就職先は決まりましたか?一条様から何か聞いてます?」

「さぁ、何も?一条様も息子の就職先なんかの要件で俺には電話はしてこないだろう。アイツはアイツで道を切り拓くしかないから、泣きついてくるのなら就職先の口利きをしてやっても良いとは思ってる」

「そうですか……」