フラフラしている吉沢さんが玄関まで来て、今にも倒れそうだった。

「ごめんなさい、体調悪いのにお邪魔して。熱が高そうですね…」

「扁桃腺が腫れちゃってて…。疲れている時とかに熱出ちゃうの…」

「お大事にして下さいね。高見沢さんが色々と買って来てくれたから、冷蔵庫に入れさせて下さい!……はい、高見沢さん、入れてきて下さい!私は帰らなきゃいけないので…!」

私は玄関先に男性物の靴が置いてないか確認してから、高見沢さんを無理やりに部屋に押し込んで、吉沢さん宅を後にした。

お節介が過ぎたかもしれないが、二人きりになるには今しかないもの!こんなに弱ってても吉沢さんの彼氏は忙しさを理由に現れない。

高見沢さんの背中を押してあげられる絶好のチャンスは今しかないんだ。二人が友達に戻るにしても、恋人に昇格するにしても、チャンスがなければなり得ない。男女の友情って、こじれたら厄介で修復しにくいのかな?そこに恋愛が絡むと修復は不可能かもしれない。私には何でも話せる男友達が居ないから、良くは分からないけれど……。

高見沢さんに買って貰ったスイーツとお茶などが入っている袋を持ち、自分の部屋まで歩く。今日は一颯さんの所には行かない事にしたから、一人でのんびりしようかな~なんて思っていたのだけれど、帰ったら高見沢さんからメッセージが届いていた。

"明日、急だけど休んでいい?
吉沢が熱下がらないから、病院連れて行く。ロイヤルスイートは一件しか居ないし、俺は外れてるから大丈夫だよね?"

"あとはよろしく"

───うん、そういう事情なら大丈夫。頑張ります!高見沢さんにも頑張って欲しい。高見沢さんの気持ちが吉沢さんに届きますように……。