声が聞こえたので、後ろを振り返るとショルダーバッグを手に握りしめている吉沢さんが居た。高見沢さんの背中に当たった何かはバッグで、ぶつけたのは吉沢さんらしい。
「見かけたから話をかけようと思ったら…私の話をしてたから聞かないように遠回りして行こうと思ったけど、話、聞こえちゃって…」
「吉、ざ…わ…」
大きな目からは今にも涙が零れ落ちそうな位に溜まっている。震えている声。
「高見、沢…ごめん…ね、彼氏の話したり、して…。も、しない…から」と言って、吉沢さんは走って行ってしまった。
高見沢さんに追いかけるように促したけれど、そんな素振りも見せずに早歩きで行ってしまった。私がふざけて高見沢さんを茶化したからいけないんだ。二人を傷つけてしまったに違いない……。
今日の始まりはとても憂鬱だった。仕事中も高見沢さんは口数少なくて、黙々と仕事をこなしているだけ。吉沢さんは休憩室にも顔を出さず、高見沢さんと会わないように避けているらしい。自分の巻いた種とは言え、………辛い、辛すぎる。どうして良いのか分からず、仕事の合間を見て、フラフラと一颯さんに会いに来てしまった。
「どうした?仕事中に会いに来るなんて珍しいな」
社内専用のスマホから一颯さんに電話をし、支配人室に行って良いかの確認をしてから向かった。一颯さんはPCで仕事をしていたが、私が入室すると手を休めた。
「あの…高見沢さんが…」
私は一颯さんのデスクの前に立ち、話を始める。
「見かけたから話をかけようと思ったら…私の話をしてたから聞かないように遠回りして行こうと思ったけど、話、聞こえちゃって…」
「吉、ざ…わ…」
大きな目からは今にも涙が零れ落ちそうな位に溜まっている。震えている声。
「高見、沢…ごめん…ね、彼氏の話したり、して…。も、しない…から」と言って、吉沢さんは走って行ってしまった。
高見沢さんに追いかけるように促したけれど、そんな素振りも見せずに早歩きで行ってしまった。私がふざけて高見沢さんを茶化したからいけないんだ。二人を傷つけてしまったに違いない……。
今日の始まりはとても憂鬱だった。仕事中も高見沢さんは口数少なくて、黙々と仕事をこなしているだけ。吉沢さんは休憩室にも顔を出さず、高見沢さんと会わないように避けているらしい。自分の巻いた種とは言え、………辛い、辛すぎる。どうして良いのか分からず、仕事の合間を見て、フラフラと一颯さんに会いに来てしまった。
「どうした?仕事中に会いに来るなんて珍しいな」
社内専用のスマホから一颯さんに電話をし、支配人室に行って良いかの確認をしてから向かった。一颯さんはPCで仕事をしていたが、私が入室すると手を休めた。
「あの…高見沢さんが…」
私は一颯さんのデスクの前に立ち、話を始める。