純と郁は、国道沿いの動物病院に来ていた。

郁が可愛がっている猫(モカ)が病気になり少しだけ入院していたのだ。

『よかったな郁、モカたいした事なくて』

『うん、1週間入院したら退院だって、そしたらまた一緒にいこうね、純くん』
そう言うと彼女はほっとした表情になった。

二人で歩く、夕焼けの空の下。
何気ないけど、幸せな時間だ。

純は早足で横断歩道を渡り、遅れて追いかけて来る、郁に向けて携帯を構えムービーを撮り始めた。

そんな時だった。

びぃぃい――ドンッ
一瞬にして純の目の前に静寂が訪れた。

ナニガオコッタンダロウ、ワカラナカッタ