「カナキ、もうすぐ俺らの出番」
けらけら笑う星野くんの隣で複雑な気持ちになっていると、後ろから石塚くんと槙野くんに声をかけられた。
槙野くんはクラスが違うけど、一緒に呼びにきたということは、同じ種目に出るのかもしれない。
「わかった、すぐ行く」
石塚くんたちに振り向いて手を挙げた星野くんが、立ち上がる前に私にちょっと顔を近づけてくる。
思わずドキッとして身構えた私に、星野くんが笑いながら声を潜めた。
「深谷、今のは冗談でも憲の前では言うなよ。疑われるから」
冗談まじりにそう言って去って行く星野くんの背中を見送りながら、私はやっぱり切なく悲しい気持ちになっていた。
