汚れたままの網とともに残された私は、星野くんが落としていったタワシを拾ってぎゅっと握り直す。
それから水道の蛇口を思いきり捻ると、周りに水が飛び散るくらいの強い水量で網の汚れをゴシゴシと落とした。
こびり付いた焦げがなかなか取れなくて、タワシを握る手に力が入る。
手が痛くなるくらいにタワシを強く握って、必死に網を擦る。
汚れを取ることだけを考えて、入れすぎなくらいに手に力を込める。
そうしていないと、溢れ出しそうになる涙を堪えることができなかった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…