「わかった。私たちが持ってく。行こ、もっちー」
ゴミ袋を乱暴に持ち上げた野宮さんが、私からツンと顔をそらして歩いて行く。
そのあとを慌てて追いかける持田さんの背中をあれ?と思いながら見ていたら、村田さんが走り寄ってきた。
「なんか今、小学生の友ちゃんが見えた!」
キラキラと目を輝かせる村田さんに困って、助けを求めるように星野くんを見ると、彼は彼でまだ可笑しそうに笑っている。
「私、何か間違った?」
困惑気味に訊ねたら、星野くんが笑いながら私の頭に手を載せてクシャリと撫でた。
「全然。深谷っぽかったから、大丈夫」
頭を撫でる星野くんの掌がなんだかくすぐったくてドキドキするけど。何が大丈夫なのかはよくわからない。
山辺くんはまだぽかんとしているし。
「掃除終わったみたいだし、行こう。じゃあな、山辺」
私の頭をひとしきり撫でたあと、星野くんが茫然している山辺くんに声をかける。
そこで始めてハッとした彼は、私を見て何度か瞬きしてから歩き去って行った。