「押し付けたわけじゃないよ。用事があるから、お願いしたんじゃん」

「バイトだっけ?でも、今はテスト期間前だよね?うちの学校、テスト期間とテスト一週間前は学業に専念するっていう条件の基にバイトが認められてるんじゃなかったっけ?」

これまでずっと教室で大人しくしている私に反論されると思わなかったのか、野宮さんと持田さんが黙り込む。


「もしどうしてもその期間もバイトしなければいけない事情がある場合は、学校に申請しなきゃいけないよね。ふたりとも、そうなんだ?」

少し意地悪く首を傾げたら、野宮さんたちはふたりで気まずげに顔を見合わせた。

どうやら、私に言い返す言葉がないらしい。


「もしバイトっていうのが早く帰りたいだけの口実なら、ゴミ捨てはみんなでジャンケンじゃないかな?」

そう提案して、村田さんが口を結んだゴミ袋を野宮さんたちの目の前にドンと置く。

私は本気でジャンケンするつもりで周りを見回したら、悔しげに唇を引き結ぶ彼女たちの後ろで、山辺くんがぽかんとした顔で私のことを見ていて。村田さんは、パッと目を輝かせていて。その隣で星野くんが口元を押さえながらクスクス笑っていた。