話してしまえば楽になるかもとか、知られてしまっているなら今さら…とか。そんな考えが、星野くんの言葉で一気に散った。
やっぱり、星野くんはナルから『あのこと』を聞いて何か知ってる。
本当はまだ話す覚悟も決まってないし、気持ちの整理もできていない。
星野くんがナルから『あのこと』を聞いてどう思ったか。それを考えると、不安で仕方がない。
だけど、こうして面と向かって直球で訊ねられたら、もう黙っているわけにもいかない。
「花火大会の次の日、ナルに会ったんだよね?」
確認のために問いかけたら、星野くんが驚いたように瞳を揺らした。
「ナルから何か聞いたなら、それは本当だよ。星野くんが言ってた話したいことって、そのことだよね?」
泣きたい気持ちで微笑むと、私はようやく覚悟を決めた。
「私、高一の三学期の初め頃に、ナルのことを階段から突き飛ばして怪我させた。それが、前の学校を辞めることになった直接の原因」