階段で急に青ざめて倒れた私を、星野くんが保健室まで連れてきてくれた。
しばらくベッドで休んでいたら落ち着いたけど、軽い貧血状態になっていたのだと思う。
「ごめんね。始業式サボらせて」
「いいよ。どうせ出たって、話聞くだけでダルいし」
もらったレモンティーにストローを挿しながらつぶやくと、星野くんが私の手元を見ながら苦笑いする。
「けど、そろそろ終わる頃だし教室に戻ろうかな。深谷はもうちょっと休んどけば?担任には俺から言っとく」
「あ、うん」
教室、戻っちゃうんだ。
星野くんが背を向けた途端、無性に淋しくなった。
だけど、星野くんはケガもせずに無事だったわけだし。私の事情で勝手にパニックになって倒れたのに、これ以上は迷惑をかけられない。
頭でそれを理解している。
それなのに、気がつくと私は、カーテンを開けて出て行こうとする星野くんの背中に向かって手を伸ばしていた。