学校の友達が遊びに来るなんて言ったら、お母さんはどんな反応をするだろう。
村田さんとの電話が終わったらすぐにお母さんに話さないと。
そんなことを頭で考えていたら、電話を切る間際に村田さんが思い出したように「あ!」と声をあげた。
「カナくんに、友ちゃんの連絡先教えていい?友ちゃんの怪我のこと心配してて、直接連絡したいみたい」
「星野くんが?」
「そうなの。私からカナくんに教えてもいいかな?」
星野くんと次に顔を合わせるのは夏休み明けかと漠然と思っていたから、思いがけない展開に胸が高鳴る。
「うん、大丈夫だよ」
昨日の別れ際の星野くんの顔を思い出してドキドキしながらそう答えると、村田さんが笑った。
「よかった。カナくんも自分でちゃんと聞けばいいのに」
「え?」
「あー、うぅん。何でもない。こっちの話」
村田さんが誤魔化すようにふふっと笑う。
「明日のこと、愛莉にも話してまた連絡するね」
それからいくつか他愛のない話をして、私たちは電話を切った。