村田さんの言葉に、花火大会で会ったナルと森ちゃんの顔がふと蘇る。
村田さんの厚意は嬉しい。嬉しいけど、編入してからは特に、誰かの厚意を素直に受け止めることに臆病になっている。
「もちろん、もし友ちゃんがよければでいいからね」
すぐに返事をしない私を、村田さんが気遣ってくれる。
電話越しにも関わらず、彼女の声には優しい思いやりがこめられているように感じた。
村田さんの言葉は、素直に受け止めてもいいのかも。
小学校ぶりに再会してからの付き合いはまだ短いけれど、彼女がなんの打算なくひとりのクラスメートとして私に接してくれていることはわかる。
「ありがとう。来てくれたら嬉しい」
思いきってそう言ってみたら、電話の向こうで村田さんがふわっと笑ったような気がした。
「よかった。明日は空いてる?」
「うん、大丈夫」
岸本さんにも念のため確認が必要らしいけれど、村田さんたちが明日うちに来てくれるということでなんとなく話が纏まった。