花火大会の翌日。病院から帰ってきて部屋で休んでいると、村田さんから電話がかかってきた。
「友ちゃん、大丈夫?カナくんから、花火大会で怪我したって聞いたんだけど。私たちと屋台のとこで別れたあと、何かあったの?」
村田さんは、私が怪我したという事実以外は星野くんから何も聞かされていないらしかった。
心配していろいろと尋ねてくる村田さんに、土手で滑って捻挫してしまったことを簡単に話す。
だけど、そうなるまでに至ったナルとの再会とか、歩けない私を星野くんがコンビニまで運んでくれたこととか。そういうことはほとんど全て省略した。
「ごめんね、ちゃんと連絡もせずに帰って。せっかく誘ってくれたのに、一緒に花火見れなかったし」
「友ちゃんが元気なら、そんなことは全然いいんだよ。怪我、治るのにどれくらいかかるの?」
「病院の先生は、軽い捻挫だから2週間くらいで治るんじゃないかって」
「そっか。だったら、夏休み前半は暇だよね」
「うん、宿題をせっせと片付けるしかないかな」
苦笑いでそう言うと、村田さんが少し沈黙した。
それから、私の反応を伺うように問いかけてくる。
「愛莉とお見舞い行ってもいい?」