同期の飲み会が久しぶりに開催されたのは、私が大きな仕事を片付けたことのお祝いだった。
毎度こんなことはしないけど、仲間内で落ちこぼれだった私の成長は祝うべきものらしい。
表向きの理由はそれで、実際は榛名先輩に振られた私を励ます会みたいだけど。

「ほら、手羽先、好きだろ。行永」

今日は同期の女子三人に加え、五課の佐橋くんも参加だ。
どうやら、彼もまた私と榛名先輩の破局に責任を感じているみたい。いいのに。悪いのは私なんだから。

「飲み放題にしたし、明日は休み。飲もう、飲もう」
「里乃子があんな大きな仕事取れるとはねえ」

私は手羽先を両手で持ち、もくもくと口に運ぶ。みんな盛り下がらないように頑張ってくれているのが申し訳ない。だけど、全然元気が出ない。

「里乃子、ビールお替わりする?チューハイにする?」
「チャーハン頼もうよ。お腹すいたでしょ」

かほと花凛が私の顔を覗き込む。
みんなに気を遣わせていることが心苦しいから、笑顔になりたい。駄目だ、うまく表情筋が動いてくれないよ。

「あのね、正直に言うわね」

突如、雅美が言った。

「私は里乃子と榛名さんが別れてよかったと思ってる」