「西城美泡|《さいじょうみう》です。」
「同じく、西城美夏|《さいじょうみか》です。」
「「よろしくお願いします。」」
二人そろってお辞儀をする。
ここは桜爛高校。私たちは今日からここの生徒だ。とは言っても入学ではなく、転入。7月という微妙な時期の転入生に、周りはもの珍しそうな視線を浴びせる。
できるだけ視線を合わせないように自分の席に向かうが、物珍しい視線を送りたいのはこっちのほうだ。
ちょーカラフル!!
なにこの、髪の色!ピアス!そして、制服⁉
制服ってこんなに個人差出るものだったかしら?髪の色とかピアスはまだわかるけど、制服でまで自分をアピールするのね、、、
不良高校と聞いてはいたけれど、どちらかといえばここはお花畑ね。
「美夏、お弁当、玉子焼き入れたわよ。」
「ほんと!やったー!」
美泡の玉子焼きは私の大好物!わくわくしながらお弁当を取り出す。
お昼休みまでの時間は、あっという間だった。
授業中に騒ぐ人はいなかったし、というか真面目に授業を受ける人がいなかった。 先生たちは注意することもなく、ただたんたんと授業は進んでいった。
「こんにちは!僕たちも一緒にお昼食べてもいい?」
私たちがお弁当を食べているところに、声をかけてきたのは、例にもれず髪色は派手だけれど、優しそうな男の子2人だった。
確か、廊下側の端の席に座っていた2人だわ。
「どうぞ。」
美泡が笑顔で対応する。
すると2人は嬉しそうに近くの席からいすを持ってきて、喋り始める。
「僕は仁。よろしく!」
「俺は渚だ。よろしくな!」
「「よろしくね、2人とも」」
2人とも元気で、明るい子だった。
「2人は、双子なの?」
「えぇ、そうよ。」
「どっちがお姉ちゃんで、どっちが妹?」
「あたしが姉で、美夏が妹よ。」
お昼休みが終わる鐘が鳴るまで、2人は私たちを質問攻めにした。
「優しそうな子がいてよかったわね。」
「うん、そうだね。」
仁と渚はここに来てからの友達第一号だ。
転校初日はなんの問題もなく終わり、、、のはずだったのに、
「なぁ、きいてるー?」
私たちは、からまれていた。ガラの悪いカラフルな男の子たちに。
「転校生だろー?このへん俺たちが案内してやるって~」
「だから、結構です。」
どうして不良って語尾伸ばすのかな、もっとしっかり話したらいいのに。人をイラっとさせる喋り方よね。
「おい」
突然、どすの利|《き》いた声が私たちの後ろから聞こえた。
私たちの後ろに視線を移した男の子たちは、少し顔を青くし、
「くそっ」
「やべぇ」
そう呟いて去っていった。
振り向くと、そこには背の高い黒髪の男が立っていた。
黒髪!ここに来てから初めて見たかも!カラフルじゃない子もいるのね。
「助けてくれて、ありがとう。」
そう美泡が言った。
言ったのは美泡だ。、、なのになんでそんなに私を見るの⁉
「あ、ありがとうございます…」
お礼を言え、と無言で訴えているのかと思って言ってはみたが、それでもじっと見てくる。
なに?? 睨んでるの? 私、なにかした???
さっと美泡の後ろに隠れるも私への視線は変わらない。
「何か用かしら」
美泡が睨み返す。
するとやっと視線を美泡に移し、た、けどまた私を見る。
なんなのこのひとー⁉なんで何もしゃべらないの、、
「…一緒に来い」
と思ったらしゃべった!!
けど、、どこに、なぜ、なんのために⁉
「…断ったら?」
美泡がまた睨み返す。
「断らないほうがいいと思うよ?」
と口を出したのは、突然男の後ろから現れて不敵な笑みを浮かべる、青い髪をした男だった。
「それはどういうことかしら?」
美泡が警戒心を丸出しにして聞き返す。
「ま、簡単に言ったら、来ないんだったら力づくでも連れてくよ?ってことかな。」
男は笑みを崩さずに、そう言った。
「…そう、、わかったわ。行きましょ、美夏。」
「えっ、うん…」
美泡がおとなしくついていくとは思わなかったので、少し驚いた。
「よかった。女の子に対して乱暴はしたくないしね。安心して?別に怪しいところに連れていくわけじゃないからさ。」
と青髪の男が言うと、2人の男は振り返って、歩いていく。その後ろを美泡がおとなしくついていくので、私もそれに続く。
美泡はなんでおとなしくついていくんだろう。。。
着いたのは、ほぼバイクしか置いていない駐輪場。
つまり、ここが目的地なわけじゃなくて、ここからさらにバイクで移動するのね、、、
「ちょっと待ってて。」
そう言って男たちは駐輪場の中へと進んでいく。
「ねぇ、美泡。これからどこ行くの?」
「あたしもわからないけど、乱暴されたくないし、ついていくしかないじゃない?」
ニコっと笑って美泡が私を見る。
「まぁ、そうだけどさ、、、」
「大丈夫よ、美夏は私が守るから。」
「…ありがと、美泡。」
そう言うと、美泡は満足そうに笑った。
しばらくして、2人がそれぞれバイクを引いてきた。
「乗って。」
のって?乗る?バイクの2人乗り⁉
待って。美泡と離れるってことだよね、、
しかも、真顔で私を凝視してくる男の後ろか、笑みを崩さない不気味な男の後ろか選べってこと⁉
どっちも怖すぎるよ、、、!!
「美夏、黒髪のほうに乗りなさい。」
「えっ」
そう言うと美泡はスタスタと青髪のほうに向かう。
美泡はいつもそう。危険な方に立ち向かって私を守ってくれる。
といっても、今はどちらかというと青髪のほうが危険そうってだけで、こっちの黒髪も危険…
でも、美泡が行ってくれたんだから、私だって頑張んないと。
そう自分に気合を入れて、黒髪男に近づく。
けど相変わらずの凝視。
怖いよ~、、せっかくの決意が鈍るじゃん、、、
てか、美泡たちもう出発してる‼
勇気を出すんだ、美夏!私ならできる!
「よ、よろしくお願いします、、」
小声でそう言って男を見る。
「ふっ…」
…………え、なに、今、笑った…の、、?
さっきからずっと真顔で私を凝視してたのに、、幻?かな?
笑顔はほんの一瞬で消え、すぐに真顔に戻る。
やっぱり見間違い??
鼻が詰まってた、とかそういうこと??
「早く乗れ。」
こっわ、、そんな低い声で言わなくてもいいじゃない…
やっぱりさっきの笑顔は見間違いだったのかな、、
と考えながら、恐る恐る男の後ろに乗り、男の腰に手を回す。
「ち、ちゃんと、掴まってろよ。」
??掴まってるじゃない、、
「?……スピード出しすぎないでね、」
そう言うと、男は、行くぞ、と言って走り出した。
「同じく、西城美夏|《さいじょうみか》です。」
「「よろしくお願いします。」」
二人そろってお辞儀をする。
ここは桜爛高校。私たちは今日からここの生徒だ。とは言っても入学ではなく、転入。7月という微妙な時期の転入生に、周りはもの珍しそうな視線を浴びせる。
できるだけ視線を合わせないように自分の席に向かうが、物珍しい視線を送りたいのはこっちのほうだ。
ちょーカラフル!!
なにこの、髪の色!ピアス!そして、制服⁉
制服ってこんなに個人差出るものだったかしら?髪の色とかピアスはまだわかるけど、制服でまで自分をアピールするのね、、、
不良高校と聞いてはいたけれど、どちらかといえばここはお花畑ね。
「美夏、お弁当、玉子焼き入れたわよ。」
「ほんと!やったー!」
美泡の玉子焼きは私の大好物!わくわくしながらお弁当を取り出す。
お昼休みまでの時間は、あっという間だった。
授業中に騒ぐ人はいなかったし、というか真面目に授業を受ける人がいなかった。 先生たちは注意することもなく、ただたんたんと授業は進んでいった。
「こんにちは!僕たちも一緒にお昼食べてもいい?」
私たちがお弁当を食べているところに、声をかけてきたのは、例にもれず髪色は派手だけれど、優しそうな男の子2人だった。
確か、廊下側の端の席に座っていた2人だわ。
「どうぞ。」
美泡が笑顔で対応する。
すると2人は嬉しそうに近くの席からいすを持ってきて、喋り始める。
「僕は仁。よろしく!」
「俺は渚だ。よろしくな!」
「「よろしくね、2人とも」」
2人とも元気で、明るい子だった。
「2人は、双子なの?」
「えぇ、そうよ。」
「どっちがお姉ちゃんで、どっちが妹?」
「あたしが姉で、美夏が妹よ。」
お昼休みが終わる鐘が鳴るまで、2人は私たちを質問攻めにした。
「優しそうな子がいてよかったわね。」
「うん、そうだね。」
仁と渚はここに来てからの友達第一号だ。
転校初日はなんの問題もなく終わり、、、のはずだったのに、
「なぁ、きいてるー?」
私たちは、からまれていた。ガラの悪いカラフルな男の子たちに。
「転校生だろー?このへん俺たちが案内してやるって~」
「だから、結構です。」
どうして不良って語尾伸ばすのかな、もっとしっかり話したらいいのに。人をイラっとさせる喋り方よね。
「おい」
突然、どすの利|《き》いた声が私たちの後ろから聞こえた。
私たちの後ろに視線を移した男の子たちは、少し顔を青くし、
「くそっ」
「やべぇ」
そう呟いて去っていった。
振り向くと、そこには背の高い黒髪の男が立っていた。
黒髪!ここに来てから初めて見たかも!カラフルじゃない子もいるのね。
「助けてくれて、ありがとう。」
そう美泡が言った。
言ったのは美泡だ。、、なのになんでそんなに私を見るの⁉
「あ、ありがとうございます…」
お礼を言え、と無言で訴えているのかと思って言ってはみたが、それでもじっと見てくる。
なに?? 睨んでるの? 私、なにかした???
さっと美泡の後ろに隠れるも私への視線は変わらない。
「何か用かしら」
美泡が睨み返す。
するとやっと視線を美泡に移し、た、けどまた私を見る。
なんなのこのひとー⁉なんで何もしゃべらないの、、
「…一緒に来い」
と思ったらしゃべった!!
けど、、どこに、なぜ、なんのために⁉
「…断ったら?」
美泡がまた睨み返す。
「断らないほうがいいと思うよ?」
と口を出したのは、突然男の後ろから現れて不敵な笑みを浮かべる、青い髪をした男だった。
「それはどういうことかしら?」
美泡が警戒心を丸出しにして聞き返す。
「ま、簡単に言ったら、来ないんだったら力づくでも連れてくよ?ってことかな。」
男は笑みを崩さずに、そう言った。
「…そう、、わかったわ。行きましょ、美夏。」
「えっ、うん…」
美泡がおとなしくついていくとは思わなかったので、少し驚いた。
「よかった。女の子に対して乱暴はしたくないしね。安心して?別に怪しいところに連れていくわけじゃないからさ。」
と青髪の男が言うと、2人の男は振り返って、歩いていく。その後ろを美泡がおとなしくついていくので、私もそれに続く。
美泡はなんでおとなしくついていくんだろう。。。
着いたのは、ほぼバイクしか置いていない駐輪場。
つまり、ここが目的地なわけじゃなくて、ここからさらにバイクで移動するのね、、、
「ちょっと待ってて。」
そう言って男たちは駐輪場の中へと進んでいく。
「ねぇ、美泡。これからどこ行くの?」
「あたしもわからないけど、乱暴されたくないし、ついていくしかないじゃない?」
ニコっと笑って美泡が私を見る。
「まぁ、そうだけどさ、、、」
「大丈夫よ、美夏は私が守るから。」
「…ありがと、美泡。」
そう言うと、美泡は満足そうに笑った。
しばらくして、2人がそれぞれバイクを引いてきた。
「乗って。」
のって?乗る?バイクの2人乗り⁉
待って。美泡と離れるってことだよね、、
しかも、真顔で私を凝視してくる男の後ろか、笑みを崩さない不気味な男の後ろか選べってこと⁉
どっちも怖すぎるよ、、、!!
「美夏、黒髪のほうに乗りなさい。」
「えっ」
そう言うと美泡はスタスタと青髪のほうに向かう。
美泡はいつもそう。危険な方に立ち向かって私を守ってくれる。
といっても、今はどちらかというと青髪のほうが危険そうってだけで、こっちの黒髪も危険…
でも、美泡が行ってくれたんだから、私だって頑張んないと。
そう自分に気合を入れて、黒髪男に近づく。
けど相変わらずの凝視。
怖いよ~、、せっかくの決意が鈍るじゃん、、、
てか、美泡たちもう出発してる‼
勇気を出すんだ、美夏!私ならできる!
「よ、よろしくお願いします、、」
小声でそう言って男を見る。
「ふっ…」
…………え、なに、今、笑った…の、、?
さっきからずっと真顔で私を凝視してたのに、、幻?かな?
笑顔はほんの一瞬で消え、すぐに真顔に戻る。
やっぱり見間違い??
鼻が詰まってた、とかそういうこと??
「早く乗れ。」
こっわ、、そんな低い声で言わなくてもいいじゃない…
やっぱりさっきの笑顔は見間違いだったのかな、、
と考えながら、恐る恐る男の後ろに乗り、男の腰に手を回す。
「ち、ちゃんと、掴まってろよ。」
??掴まってるじゃない、、
「?……スピード出しすぎないでね、」
そう言うと、男は、行くぞ、と言って走り出した。