タバコの煙を口から吐きながらヒロが聞いてくる。

「・・・・・・・・はい」
「ほんま？」
「・・・・・何か前は、近づいたら近づいただけ満足できてたんですけど、メジャーデビューしたぐらいから、人気が出るほどすごい嬉しいんですけど、遠くなった感じがします。
ただのわがままですよね」

途中で何言ってるかわからなくなってきた。となりにヒロがいるのに平然としてるほうがむりだよ・・・。

「せやんなー。」
「え？」
「俺も思ってたもん。」
「・・・・・・・・・・。」

時折タバコの灰を落としながらヒロが話し出す。

「前は好きな曲作って小さいハコ・・・ライブハウスな。で、数えれるぐらい少ないお客さんの前で好きなように演奏できててん。それやけど・・・今は自分のファンすら把握できひん。」

「・・・・・・。」
「売れるためだけに曲つくるなんて・・・・全然おもんない・・・。」

ヒロがたばこを地面に押し付けながらポツリポツリと話す。