もう一度名前を呼んだ。
反応はもちろんない。それでも良かった。
零れていく涙が
いつか秋が泣いた日のように涙の雨となって、今度は彼に降り注ぐ。

「愛してる」

薄い唇にそっと口付けた私を咎める者はだれもいなかった。