仮の総長様は向日葵のような元姫さまを溺愛せずはいられない。



「楽勝楽勝!こんな小さな街で1番だと思ってるやつらに負ける気しないし!」

「負けるはずないじゃん。だって、仲間を裏切るようなチームに僕らは負けないよ。」

え……じゃあ、知って……?

「知ってたのか?響だけ?圭太と仁もまさか?」

「あー…俺が頼んだの。響にさ。月輝が姫を追い出した数日後にね。それに陽愛ちゃんがその元姫だってこと。だけど、俺らは噂とか信じないから現姫を徹底的に調べたんだよ」

「俺らって……調べたのは僕だよ。陽愛ちゃん、泣かないで……陽愛ちゃんのことはきっと仁が守ってくれるから。」

なんでこんなに、優しいのかな。月輝のみんなは信じてくれなかったのになんで日向の人たちは信じてくれるの?

「……って、響は守らないのかよ!」

「え?僕は間接的に守るよ。情報を整理してその上で作戦を考える。僕は僕の役割でお姫さまを守るよ。」





コントみたいな会話も私を守るために話し合ってくれてるのが本当に嬉しい……。

仲間ってこういうことなのかな。

「陽愛。まだまだこれからだよ。陽愛に教えてやるよ。仲間の絆、信頼関係ってやつを。だから、陽愛は俺らに守らせてよ。」

ぎゅっと陽平くんに抱きしめられる。それがなんだか心地いい。

「絶対、勝つよ。俺、今度は絶対に陽愛を守るから。」

「陽平、俺じゃなくて俺らだよ。」

最後はみんなで笑ってしまった。なんか、いいなぁこういうの……。

「うん、みんなありがとっ……頑張ってね」

そう言うと、みんな笑ってくれる。きっと明日は勝てるよ。だって、こんなにもここは温かいんだから。












そして、翌日の午後18時。


きっとこの世界の記憶に残るであろう戦いが始まろうとしていた━︎━︎━︎━︎━︎━︎━︎━︎━︎…。













***

「陽愛ちゃんは、今日は俺と一緒に行動だからね。」

「うん、仁くんよろしくね」

時間まであと1時間ちょっと。
みんなは今、気を引き締めて……なんてわけなくて殆どが戯れて遊んでいる。

「任せて!もうすぐ陽平もくるよ。」

「そうなんだ…忙しくないのかな?」

「ははっ…陽愛ちゃんに会いたいんだよ。今は、響くんと打ち合わせ的なのをやってるよ」

そっか、響くんは司令塔だから……響くんって喧嘩すると人が変わるってこの前言ってたけどどんな風に変わるのかなぁ
今日はそんな姿見られるかな?

陽平くん来ないかな…今日は一緒にいる時間がいつもより少なくて寂しい。




「陽愛、おまたせ。」

「あ、陽平くん!」

陽平くんのこと考えてたら本当に陽平くんが来てくれた。なんだか、久しぶりに会った感覚がする。

「陽愛ちゃん、陽平が来たら一瞬で女の子の顔になったね〜可愛い。」

「え!そんなに顔変わった?」

「うん、恋する乙女って感じ。そうだ、俺チームの奴らに話すことあるから時間までいちゃいちゃしなよ〜」

い、い、いちゃいちゃ⁈
何を言ってるの!そんなこと言ったら、陽平くん本当に……。

「陽愛、少し総長室行こうか。まだ出発まで30分あるんだから。」

私がなにかを言う暇なく彼に手を握られる。
みんなが見てるのに……って思うのに手を握られるのは安心するからなにも言えなくなるんだ。



「陽愛、大丈夫?……怖い?」

総長室のドアを閉めた陽平くんからそんなことを聞かれる。

「え………」

「……今日朝から不安そうな顔してる。何が陽愛をそんな顔にさせてるの?」

「そ、れはっ……」

自分でもわからないんだ。何かが不安で仕方ない。

「…元仲間だった人と戦うの嫌?それとも俺たちが心配?」

「……陽平くんが心配っ……。私、陽平くんがいればそれでいいの。陽平くんが隣にいてくれればそれで」

すると彼はぎゅっと少しだけ強めに私を抱きしめる。

「ありがとう、陽愛。俺らは絶対負けないよ。傷一つ作らずは無理だけどさ……必ず、勝つ。」

「……うん、」

私は、彼の強い言葉にそれしか言えなかった。






総長室から出てみんながいる下を見ると綺麗に整列して、みんな特攻服を着ていてカッコいい。

「そうだ…陽愛。これ、日向の姫だって証に作ったんだ……」

彼が差し出したのは向日葵をモチーフにしたネックレス。

「陽愛は、日向にとって光なんだよ。俺たちの道しるべの存在……だから笑ってて。」

彼にネックレスをつけてもらうと、優しく手を握られて彼と階段を降りた。

そして彼らの真ん中を通り、彼らを見た。


「怪我はなるべくしないこと。絶対に……陽愛を守れ。さぁ、行こうか。」

「「「はいっ!」」」

みんな一斉に返事をすると、後ろから仁くんに声をかけられる。






「陽愛ちゃん俺たちも行こう。大丈夫……俺たちが守るから。」

陽平くんを先頭に私はみんなに守られながら仁くんのバイクに乗せてもらった。

陽平くんの一言によって、順に出発する。
……というか、どこに行くの?それ私知らないんだけど……。

「ねぇ、仁くん。今からどこに行くの?」

「えっ⁈知らなかったの?!月輝のB倉庫だよ。」

B倉庫……?
B倉庫なんてなかったはず。

「ねぇ!待って‼︎B倉庫なんてないよ!私がいた時はなかった!」

「は⁈どういうこと⁈」

「ねぇ、仁くん……私ここに残る。」

私はここに残らなきゃいけない気がする。何か、月輝の罠なんじゃって思うから。

「もしかしたら、月輝はここを狙ってくる。だから……」

「……わかった。俺が陽に連絡する。一緒に残ろう。」

だけど、なんで架空の倉庫だってわからなかったんだろう……だって響くんは天才ハッカーなんだよね?

「陽愛ちゃん、おっけーでたよ。それがね─︎─︎─︎」






【陽平 side】


……ふぅ…

結構早かったな……終わるの。

「もう終わりかよ。つまんねーな」

「……終わりなわけねーじゃん。俺らは「時間稼ぎなんだろ?」」

俺がそう遮って言えば、彼らは驚いた顔をする。そりゃそうだ…こんな展開を予想していたなんて思わないだろう。

「な、なんで……っ!じゃあ、倉庫には……」

「いますよ。日向会の半分残ってるんだよね」

……まぁ、俺らもここにくる1時間前に響から伝えられて知ったんだけどな。

ギリギリで焦ったけど……。