「陽愛さん、俺のことは呼び捨てで大丈夫です!それに敬語は無しでお願いします!」
そんなことでみんな驚いていたの?不思議な人たちだなぁ……
「レン、夕方みんなを集めてくれ。よろしく頼むよ」
「はい、分かりました。総長。失礼しました」
レンくんが出て行って行くと、盛大な音が聞こえてきた。
━︎━︎━︎グ、グゥ〜〜
「……みんな、お腹空いたの?」
「あ、うん……じゃあ昼ごはん食べに行くか。」
みんなが頷いたため、私も遅れずに頷く。私もお腹空いて来ちゃったなぁ……なんて考えながらこの倉庫からでた。
━︎━︎夕方。
昼ごはんを食べた私たちは、一旦家に帰りバイクを取ってから倉庫へと戻った。
そして、早くも夕方。17時を過ぎようとしていた頃……。
「……レンです、総長皆集まりました。」
「ありがとう、今行く。陽愛おいで?」
そう言われ頷き彼の元にかけよると庵くん達は先に行ってしまったから2人きりになる。
「陽愛」
彼は私の名前を呼んでからぎゅっと抱きしめた。
「…今から、みんなに陽愛を紹介する。日向の姫として。」
「わかった。だから挨拶しろってことでしょ?」
そう言えば、彼は微笑んで髪にキスをすると彼に手を繋がれ2人で部屋を出た。
私と陽平が昇さんの隣に立てば、昇さんが今まで聞いたことのない大きな声で話し出す。
「新しい、日向の仲間を紹介する。日向初の姫になった朝倉 陽愛だ。陽愛ちゃん、挨拶出来る?」
「うん、陽平くん下に降りてもいい?見下ろすの好きじゃないの。」
彼にそう伝えて下におりる。やっぱり挨拶するのは、見下ろすのはダメだよ。私そんなに偉くないこの下にいる子よりも下っ端だもん。
私は、みんなと同じ目線に居たいから。深呼吸をして、彼らを見る。
……大丈夫だよ。きっと。
きっと、大丈夫……みんながいるもん。
「みなさん、はじめまして。本日、日向の姫になりました朝倉 陽愛です」
「陽愛さん!こっちでトランプしません⁈」
「いやいや、今日は俺のバイク見てください‼︎」
日向の姫になり数日。
学校から陽平くんに連れられて倉庫に来た私は、なぜか引っ張りだこ状態になっていた。
こんな展開になるなんて思ってなくてアタフタしたけどやっと慣れて来た。
「今日は、えっと……」
トランプをやるってなるとババ抜きしか知らないらしくて永遠にババ抜きやらされるし
バイクを見に行けば、専門用語を30分くらい永遠に聞かなきゃいけなくなる……
仲良くしてくれるのはすごく嬉しい。だけど、少し困っていると……
「こら、お前ら。陽愛さん困ってる!陽愛さんごめんなさい。お飲み物の準備できましたので行きましょう」
いつもレンくんが助け舟をくれる。レンくんには感謝しかないよ。
「いつもすみません、困らせてしまって。」
「私もいつもごめんね、助け舟を出してもらっちゃって」
2人で謝りながら上に行くのも日常になりつつある。
2階にある部屋“幹部室”の前に行けば、レンくんが開けてくれる。これも日常になってる。
「ありがとう、レンくん。」
「いえ」
本当にいい子だなぁ…気遣いとかできるなんて素敵だ。きっとレンくんはモテるよね。
「陽愛さん、俺モテませんよ。」
「え?こ、声に出ちゃってた?」
「はい、まるっきり。」
……恥ずかしい。こんなことが声に出てたなんて……それに、
「陽愛、レンのことそんな風に思ってたんだ。」
「え、えっと……あの陽平くん………」
「陽愛、総長室いこうか。」
………え⁈と思った時にはもう既に遅くて手を繋がれて拒否をすることはできなくなっていた。
総長室に入るなりキスをする。唇が触れ合う度に身体が熱くなっていくのを感じる。
「………んっ…」
彼の今日のキスは優しくない。怒ってるように激しい……。
「…陽愛が悪いんだからな。」
『陽愛が悪いんだ……俺らを裏切ったから』
なんで、なんでこんな時に彼が出てくるのよ……っ
彼が触れる手が怖く感じる。あの日と重なるように恐怖心が支配していた。
「ごめ、なさいっ……私。」
「ひ、より……っ!」
彼の手が私に再び触れたその時、
「陽愛ちゃん怖がってる…陽、感情コントロールはしろよ。」
入り口には昇さんが立っていた。そのおかげで彼は私から離れた。
「ごめん」
それは昇さんに対してなのか私に対してなのかわからないけど……
それは分からないまま、彼は私を残して幹部室に入って行った。
……のに、急にドアが開いた。
「……陽愛も一緒に。話、聞いて」
私と陽平くんが幹部室に入ると、昇さん以外は何も知らないのか「おかえり〜」なんて明るく言う。
「陽と陽愛ちゃん、座って。ちゃちゃっと話すから」
「ちゃちゃっとって……そんな軽い話じゃないだろ」
「まぁそうだけど。陽、今日届いたらしいんだ。」
1つの白い封筒が陽平くんに手渡された。その封筒の裏、差出人の名前には月輝のあの人からだった。
「三間 洸(みま こう)……月輝の総長か。」
封筒を開けると、綺麗に三つ折りされていて洸の性格が出ているなと思う。
すると、1人見ていた陽平くんは嘲笑った。
「……宣戦布告、ね。」
「宣戦布告か。やってくれんじゃん」
宣戦布告って、月輝が日向に戦いを申し込んだってことだよね……?
それって私のせい、だよね……っ
「なーに、陽愛勘違いしてんの?」
「え?だって、私がみんなと仲良いからじゃ……」
「……大丈夫だよ、陽愛。陽愛のせいじゃないよ。前から抗争あるんじゃないかって言われていたことなんだ。」
そう灰崎くんは言うけどやっぱり自責の念に駆られる。
「陽愛、逆に良かったって思ってんだ。戦いを仕掛ける手間が省けたんだから。しかも、日時も決まってるしラッキーだよ。逆にありがとうだよ。」
彼が見せた手紙には日時がしっかりと記されている。
……って、明後日じゃん!大丈夫なの⁈
「ふっ…全国を代表とする日向に宣戦布告なんてね。」
「バカだねぇ…そういえば本職も呼んだらしいよ」
「あらまぁ…それじゃ、俺たちも何かと作戦を考えなきゃだ。」
そうみんなが話していて、みんなの表情は切羽詰まった感じとは逆に楽しそうな表情をしていた。
「な、なんでそんなに楽しそうなの?」
楽しそうに話す彼らに聞くと口を揃えて同じことを口にする。
「久しぶりに喧嘩出来るからね〜楽しみだからだよ。」
「だよなー!最近平和すぎて、体なまっちゃったかもだな。」
「喧嘩好きじゃなきゃ、暴走族に入らないでしょ?」
そりゃそうか。喧嘩が嫌なら暴走族には入らないか……。
「昇、あいつらに連絡お願い。早めにつけるように言えよ。」
「もうしたよ、夜中には全員揃うんじゃない?」
またみんなで会話始める彼らに頭の中はハテナだらけになる。そのあとは、本当に私じゃわからない話ばかりで眠くなってくる。
「陽愛ちゃん、眠そうだけど寝る?今日は泊まりだから」
泊まりなんて聞いてないって思ったのに、ねむくてそんな言い返すことはできずにうなずいた。