その言葉を聞いたメディさんは写真に映るマオットさんを愛しげに撫で、最後のページをめくり、はっ!と息を呑んだ。
中央に貼られているのは公園のベンチでふたり並んで笑い合う姿。その表情は、とても幸せそうだ。
「すみません、勝手に。とてもお似合いだったのでシャッターをきってしまいました。…マオットさんは浮気なんてしていませんでしたよ。仕事仲間にも、いつもあなたの話をしていました。自慢の彼女なんだって」
ふっとこちらを見る黄金の瞳。
踏ん切りがつかない様子の彼女は不安そうに続ける。
「なら、いったいどうして私に隠れてこんなことを?」
「それは私からは言えません。彼も、きっと自分の口で伝えたいと思っているでしょうから」
私はルキと過去の世界に行って、全てを知った。それは、決して恋人を悲しませるような真実じゃない。
アルバムに置かれた彼女の手を優しく握り、背中を押すように笑いかけた。
「メディさんを見てこんなに優しい表情をする彼が、別れを切り出すなんて思えません。逃げずにまっすぐ聞いてみてください。きっと、嘘なんかつかずに教えてくれると思いますよ」