なんとも頼もしい言葉。ある程度の責任感を持って食い倒れ旅に参加しているらしい。

真面目な顔をして言うものだから、つい表情が緩んだ。緊張して気を使っていたのが嘘みたいだ。

数分後。

運ばれてきたパンケーキに心が躍り、スマートフォンに手が伸びる。


「いつものカメラでは撮らないのか?」

「はい。店内で構えたら目立つかなって思ったので。でも、スマートフォンでも光の向きを意識すれば相当いい写真が撮れるんですよ」

「さすがだな」


そうそう、これ。

思わず写真を撮りたくなってしまうようなパンケーキ。こんなメニューをウチでも出せたらいいな。例え味を忘れても、誰かと食べた楽しい思い出は、写真を通していつでも思い出せる。

ナイフとフォークで切り分けながら味わっていると、慣れないカップケーキに苦戦しているルキが目にはいった。

カラフルなクリームに銀色のアラザン。ウサギやクマの顔と睨み合いながら食べ進める彼の姿がなんだか微笑ましい。魔王とカップケーキの組み合わせは、おそらく今まで誰も見たことがないだろう。

流石に、かわいいだなんて言ったら睨まれるな。