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翌日、空は雲ひとつない晴天。
ムジナの幽霊機関車に揺られ、目的の都市に辿り着いた。昼どきの繁華街は活気にあふれていて、飲食店も多く看板を出している。絶好の食い倒れ旅日和だ。
しかし、懸念材料がひとつ。
「ねぇ見て。あのサングラスの男の人、背ぇ高ーい…!」
「よく見たら結構カッコ良くない?お忍びのモデルか何かだったりして」
連れが予想以上に目立っている。
ただでさえ人並外れたオーラを放つ上に、スタイルがいいルキ。服装は、無地のシャツに細身のパンツというシンプルな装いだが、十月上旬のそれほど強くない日差しでサングラスをしていることが人目を惹くらしい。顔を隠す芸能人だと思われているようだ。
すれ違う人がこそこそと振り返っているが、私はお付きのマネージャーではない。
「ルキ、本当に一緒に来て平気だったんですか?さっきから注目を浴びていますけど…人間があまり好きではないんでしょう?」
「あぁ。過剰に怖がられたり、逆に興味本位でベタベタしてきたり、役人のように話を聞かないやつが嫌いだな。…気にするな。接客以外では、お前としか関わらないつもりだ」
集まる視線を軽く受け流すルキ。
いつも以上に顔が険しいものの、心なしかワクワクしているように見えるのは気のせいだろうか。
魔王として魔界にいた頃は自由に城下町を散歩できなかっただろうし、なんだかんだお出かけが楽しいのかもしれない。
私も、そんな彼につられて期待に胸が膨らんだ。