ヴァンパイアのヴァルトさんは日光に弱く、ディナーの仕込みなどで日の高い時間帯から活動しただけで元気をなくしてしまうようだった。この世界の太陽は、魔界とは比べものにならないらしい。
そろそろランチタイムの営業も視野に入れたいところだが、無理をして働いてもらうわけにもいかないのが困りどころである。
ルキは腕を組んで提案した。
「昼はベーグルやスープを用意して、作り置きでまかなえるメニューを売るのはどうだ?それか、調理が手軽なサンドイッチとか」
「確かにそのアイディアもアリですが、どうせならランチタイムの新しい宣伝をしたいんです。それこそ“ニコッター映え”を意識したものを」
そう。
店が軌道にのってきたこのタイミングで、ぜひランチタイムの顧客を獲得したい。
客層を広げてレストランの知名度を上げるためにも、新たなステージへ向かうことに重要な意味があるのだ。
「そうだ!僕にいい案があるよ」
元気よく手を上げたケット。
視線が集まる中、彼は明るく続ける。
「明日は営業をお休みにして、都市に行って色んなお店を見て回るのはどう?何か参考になるかもしれないし」
「お客さんの需要をリサーチするってことね?確かに良いヒントが転がっているかもしれないわ」