笑顔が若干引きつるヴァルトさんに、私は大きく頷いた。

当たり前だ。ここでイケメン従業員を有効活用しなくてどうする。


「すごいね〜、映画のキャスト発表みたい。ミレーナの写真は僕が撮ろうか?」

「私?それはダメよ!」


楽しげにカメラを構えたケットを慌てて止めた。

首を傾げたルキとヴァルトさんは口々に言う。


「どうして止めるんだ?従業員紹介ならミレーナも載るべきだろう」

「ミレーナちゃんは可愛いし、看板娘はいい宣伝になると思うけど?」


ダメだ。

そんなお世辞を言われても、私はどう見たって平凡な十七歳。メイクをすれば多少変わるのだろうが、加工なしでここまで映える彼らとは元が違う。

それに、私がこのサイトに載れば、それを目にしたシグレが連れ戻しに来るかもしれない。彼にだけは居場所を知られるわけにはいかないのだ。


こうして、続いて投稿した宣伝もかなりの注目度を集め、魔界レストラン《レクエルド》はオープン初日を迎えたのである。